2008-10-19

10句作品テキスト 鳥居真里子 月 の 義 足

 月 の 義 足    鳥居真里子

遠火事に似てゆきずりの花すすき
繃帯の手首九月のさくらの木
鳥の眼のなかのカンナを切りにゆく
人形の乳房に木目みみず鳴く
角まるき柩もいいな色鳥よ
心臓へそよとひとつき赤い羽根
空に青たしてはじまる冬支度
芝居小屋なり蟷螂が燃えてゐる
目薬の水色はるか夜の花野
月光は月の義足やちんちろりん



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