10句作品テキスト 小野あらら カレーの膜

　カレーの膜　　 　小野あらら

砂山の中の湿りや夏の果
秋の風金色の魚並びけり
路地裏の狭き蕎麦屋や鳳仙花
草の花しつかり立たぬ杭一つ
栗飯に栗の形の残りけり
ポケットの奥に十円豊の秋
種なしの葡萄の小さき種を噛む
秋の暮カレーに膜の張りにけり

■
■
■