年代別
週刊俳句2008年アンソロジー 91人91句
※新年詠、週刊俳句賞応募作は割愛させていただきました。
※年齢に誤認があるかもしれません。ご海容ください。
80代※年齢に誤認があるかもしれません。ご海容ください。
空中にきりぎしがあり薔薇垂らす 八田木枯 第59号
70代
空港の最上階で花種買ふ 大牧 広 第47号
地芝居のポスターに雨横なぐり 桑原三郎 第73号
豆撒いてこれは戦争の練習 横須賀洋子 第48号
よし分った君はつくつく法師である 池田澄子 第74号
真っ先に芽吹きもっとも寂しい木 伴場とく子 第55号
海鞘食ってどぶんどぶんと老いてゆく 斉田仁 第84号
瑠璃蜥蜴草葉の蔭を出入りする 望月哲土 第61号
60代
双眼鏡・硯・地球儀・獺祭忌 武井清子 第75号
水に影それよりあわき四国かな 大本義幸 第86号
あたらしきぬかるみにしてえご落花 千葉皓史 第65号
鳥の眼のなかのカンナを切りにゆく 鳥居真里子 第78号
50代
歳末のチンドンデン助ではないか 小林苑を ウラハイ
箱庭や地球の夜は影なりき 丹沢亜郎 第64号
合鍵を忘れてもどる寒さかな 仁平勝 第86号
眼を抉り能面となる涼しさよ 奥坂まや 第65号
首刎ねよ首を刎ねよと百千鳥 菊田一平 第56号
家に帰ろう桃が腐っているよ 中村十朗 第73号
砂浜に舟の擦りあと雁渡る 馬場龍吉 第76号
光琳の兎も見えて冬の月 中西夕紀 第83号
野茂英雄たる産後の雌牛積乱雲 笠井亞子 ウラハイ
縁側を風が流れる遠花火 田口武 第71号
塩を炒る火を落したり雁の声 中村遥 第79号
来し方の暮るるや小屋の夏燈 大野朱香 第62号
とうきびの刈られて青い封書くる 中山宙虫 第81号
曇天を大きな桃の実と思ふ さいばら天気 第75号
蟹喰いし仲間暇かな飼育二課 井口吾郎 ウラハイ
口止めをして長江を泳ぎきる 西村 薫 ウラハイ
枯山が枯山を立ち塞ぐかな すずきみのる 第79号
束ねてはせせらぎほどの芹薺 小池康生 第79号
幕間の時雨となりし鳥羽伏見 村上瑪論 第38号
猛禽の声の中なる氷柱かな 対中いずみ 第39号
枯菊に残つてゐたる火の匂ひ 茅根知子 第40号
春の星ふえて谷地坊主のふえて 陽美保子 第49号
蟻止まり有象無象を見上げたる 中田剛 第64号
草原の枯れて激しく晴るる空 寺澤一雄 第82号
風とまる岸田今日子のかたちして 村田篠 ウラハイ
庭に出て爪切る人やアマリリス 玉簾 第55号
向日葵の二本をゴールポストとす 白濱一羊 第64号
冬あたたか蛇の脱殻入れし瓶 谷さやん 第84号
ワイパーのぎしぎし鷲の降りてきし 大石雄鬼 第84号
40代
滑空の鳩黄落のはじまりぬ 長嶺千晶 第81号
昭和の日地下へひろがる喫茶店 中嶋憲武 第55号
新聞に切抜きの穴うぐひす鳴く 上田信治 第40号
しわしわの鯨の耳骨冬木立 照井翠 第87号
雲を吹くごとし七草粥吹くは 太田うさぎ 第85号
壜底にブラシとどかぬ十二月 堺谷真人 第87号
傘開くところより春暮れにけり 近恵 第55号
椅子持って紋白蝶についてゆく 小倉喜郎 第49号
朧夜を卵をなぞるごと歩む 守谷茂泰 第52号
ががんぼの吹かれて自由とは違ふ 齋藤朝比古 第60号
いちまいの布となりたる南風 北川あい沙 第66号
旅はゆりかご人は雫になる途中 月野ぽぽな 第87号
むささびやノート開きしまま眠る 青山茂根 第38号
万緑や鳥に生まれて鳥を追ひ 杉山久子 第55号
遠足の二百人はなれて三人 星力馬 第55号
昼の虫電池すとんと収りぬ 岡田由季 第87号
花吹雪ポップアートのポップとは 山根真矢 第49号
森の絵に色なき風を加へけり 山田露結 第70号
蜃気楼失敗作のごとく立つ 佐藤郁良 第53号
美しき島(フオルモサ)は露原隠れさまよふ島 高山れおな 第76号
夏服の医大方面明るい夜景 小野裕三 第80号
標本の虫喰ふ虫や冬ぬくき 榮猿丸 第86号
30代
鏡には映り阿部完市話す 関悦史 第71号
ひなたなら鹿の形があてはまる 鴇田智哉 第87号
六月の空より拾ふ活字かな 中村安伸 第87号
豚の不敗神話の中のさくらかな 二輪通 第52号
晩婚に冬のいなづま刺さりけり 岡村知昭 第39号
砂粒の光り出したる水着かな 榊倫代 第62号
山霞む耳に耳たぶあるやうに 青島玄武 第79号
滝壺は何で溢れないのかな 北大路翼 第57号
金胡麻を炒るひとときや蝉の夕 津久井健之 第69号
20代
いくつもの斧をねむらせ雪の山 冨田拓也 第83号
鷹鳩と化すや嫌はれてもいいや 矢口晃 第42号
ずんべらずんべらと冬の川に板 澤田和弥 第79号
不健全図書を世に出しあたたかし 松本てふこ 第52号
風船を膨らませたる手の匂い 神野紗希 第43号
みなみかぜ駐車場まで早歩き 中原寛也 第69号
日雷魔法瓶ン中氷だけ 西川火尖 第68号
我が腿のあたりまで跳ぶ蛙かな 江渡華子 第86号
ひた並ぶ昼の街灯あげはてふ 佐藤文香 第60号
水音のひしめいてゐる夏休 山口優夢 第68号
寒肥のうすももいろの袋かな 谷雄介 第79号
冬帽の大きすぎたる記憶かな 宮嶋梓帆 第42号
泡立たぬ歯磨き粉あり帰省する 小林鮎美 第70号
サンドイッチマンかつサンタ歩み来る 生駒大祐 第86号
10代
林檎にへた地球に地軸かつ引力 越智友亮 第76号
海鳴や秋思にはるかなる余白 福田若之 第77号
豊年や鳥のはばたく切手貼る 加藤光彦 第77号
葡萄剪るゆらめく重みありにけり 三村凌霄 第77号
秋の暮カレーに膜の張りにけり 小野あらら 第77号
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