2008-12-21

月野ぽぽな ゆりかご30句テキスト

ゆりかご  月野ぽぽな

旅立ちの肩風鈴の音すこし
手荷物は光の重さ若葉風
青空の裏は濁流凌霄花
まひるまは揮発しやすし夏の蝶
裂けやすき草を愛せり水の秋
鹿渡るときアスファルト凹みたい
しなやかに白鳥お尻かきにけり
冬眠というやわらかき数ありぬ
ビル肌はジュゴンの白さ初明り
小匙一ほどの眠りよ花榠櫨
雨粒の恥じらう仕草名草の芽
桜の夜わたし私に触れている
ハイヒールは枳殻の棘真夜中へ
とくとくと夏の心音星になり
汝の声は透明な舌夕薄暑
君といて熱帯樹林ゆくごとし
石楠花が沁みてきました夜明けの音
胎児いま林檎の重さ朝が来ます
ヘブライ語沈みやすかり梢に霧
異国語で見る夢冷ややかな果実
月白の指揮者(マエストロ)ふと樹海めく
露草は雨の全貌聴いている
天体は泡の戯れ冬すみれ
薬莢めく口紅転がりつつ凍てて
感情に皮膚ある夕べ花あざみ
旅はゆりかご人は雫になる途中
しゃっくりの子もいて辺り花盛り
さざなみは水のまばたき青葉光
言葉ふと砂の感触浜木綿
薫風やすっと一行詩を縦に

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