擬人法 岡村知昭
弦楽に明るさもどり寒昴
霜焼の一家迎えるみずうみよ
看病や一月の雨仕方なし
梟のうたごえ腫瘍にはあらず
風花をなかまに助産婦となれり
感嘆のぶつかってきて寒の月
恒星をしまふくろうは零しけり
末黒野のひろびろと骨粗鬆症
つくづくし炭鉱跡の黙るなり
三月のひとびとへ塩撒かれるよ
みちのくのおもいで椿より淡し
小食でたぶんよろしい春の月
風光る母の眉間の泣きぼくろ
銃創をうなづきあって沈丁花
菜の花の岬ばんそうこう剥がす
いのうえの気配なくなり猫の恋
万引のこども薄墨桜かな
桜餅ざんねん散歩してもらう
花冷のついに外れぬ指輪かな
いますぐに都へ片栗の花へ
癇症の牡丹ひしめく国有地
雨音や食べてはならぬ梨の花
さざなみは比喩に溢れて春の暮
不整脈なら葉桜に食われけり
薫風へ粗塩を撒く勤めかな
つるばらやたっぷり使う擬人法
十薬の花の末期を騙りけり
母の日の閃光さわってはならぬ
揚雲雀むすんでひらいてを歌おう
家鴨よりまだまだこども竹落葉
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2008-12-21
岡村知昭 擬人法30句テキスト
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