2009-02-01

『俳句』2009年2月号を読む 佐藤文香

〔俳誌を読む〕
『俳句』2009年2月号を読む


佐藤文香




(1月31日午前11時すぎ、ねずみ色のロングコートに身を包み、黒い毛糸の帽子を目深にかぶり、手には壊れたビニール傘、角川『俳句』を読みながら新宿の地下道を歩く黒ぶち眼鏡の不審者を見た人はいませんか?それが佐藤文香です。)

まず読んで驚いたのは、高柳克弘「現代俳句の挑戦」。なんで驚いたかって、そりゃあなた、週刊俳句今号の目玉である対談「俳人たちに明日はない」との抱合わせ販売ができそうな内容じゃないですか(わたしゃ角川書店のまわしもんじゃぁありませんが)。

高柳さんも文体について書いているし、歌人の穂村弘さんのことを取り上げている。まぁそこまではいいとして、特にびびったのは、藤田湘子『新20週俳句入門』について書いていること。高柳さんにとってはお師匠さんだけれども、私がこのどんぴしゃなタイミングでこの本に言及してるのには自分でおったまげました。

ここまで読んで、「もしや<黒幕>は佐藤文香で、<文香>が実は高柳克弘では?」と思ったあなた、残念ながら間違いです。近い将来、高柳克弘さんと対談したいものです。

そうそう、孫引きで申し訳ないが、穂村弘さんの言う、「うた」の「修辞レベルでの武装解除」(『短歌の友人』より)、これを私佐藤文香はやろうとしてます。一旦裸で戦って、必要ならまた違うナイスでホットな装備で俳句を作りたいってね。

高柳さんは面白いことを言っているんだけど、惜しいのは、作家高柳克弘じゃなくって研究者高柳克弘が言ってるかんじなところ。だってさ、客観的すぎるでしょ?「文体の開拓への意識が停滞している現状は、俳句の可能性を大きく損ねていると言ってよい」って、言ってるけど、高柳さん自身が文体を開拓してるとこ見たことないです、私。「鷹」購読すれば、すげー作品が載ってるのかな。もし高柳さんが文体の開拓をしてないとしたら、自分が可能性を損ねてるでしょ?それって作家としてどうなの?って思うわけ。村上鞆彦さんぐらい腹が据わってないと、信用できませんぜ。

あ、でも今号で、澤田和弥さんが書いてくださった「早大俳研のこと」を読んでいただければ、高柳さんの素(もと)がちょっとわかると思います。

あ、あと絶対言っとかないといけないのは、特集についてです。「いま、注目する俳句と俳人」ってテーマね。

そういうときに、「すでに注目されている俳句や俳人」を挙げてもだめですって!中嶋鬼谷さん!正木ゆう子さんにはみんな注目しとります!角川で特集組めるレベルに注目してます!……とにかく、みんなが知らない人を見つけ出して手柄を立てなきゃだめっしょ。

しかしそもそも、あの年鑑の膨大な量の作品読んで、このテーマで書けっていうのが間違ってます。河合編集長!後記に書いてらっしゃる各俳人の名言は、この特集しなくても出て来ます!しかも5句×695人で「俳壇の新しいテーマや潮流はこれだ!」は不可能よ!せめて同じ3475句でも、25句×139人にしてください……いや、それでも辛い。

さて面白かったのは、

「晩秋の、とある週の三日間をかけて全三四七五句を読んだ。泣いた、笑った、ふるえた……」

って遠藤若狭男先生! うそやろ!!(早大俳研ではお世話になりました!)

出口善子さんという方が、随分過激派で、うちら(出口さんによる若手分類の、「オーソドックス派」じゃない方)がどう思われているかがわかって、かなり面白かった。

「『軽くて場当たり的』、それこそが俳句だと名のある先達的存在が高校生あたりを煽動しているのも事実で」

とおっしゃいますが、まじっすか!?そんなやつがいるなら私佐藤がこらしめときますからどうぞ「名のある先達的存在」のお名前をお教えください!

「三十代の作家は、この『年鑑』には数人しか登場しない。殆ど恣意的な口語作品で身辺雑事を描いてみせるのだが、内容皆無かモチーフに鮮度を欠くものが多く、失望させられた」

とおっしゃいますが……その数人の、「内容皆無」な句を挙げて、見開きで批判してもらえれば、面白いと思うんだけどな。私、反論できます。たぶん。

最後の締め(「これは、と思う若い俳人」が、「『諸家自選五句』欄には記載されていない」のとことか)は、本当にその通りですね。

わが師匠=池田澄子の姿勢には、相変わらず感動。角川俳句賞で自分の推した作家の作品をフォローすることも忘れていない(しかしその部分だけ作品がボールドになってないのは、編集部のミスでしょうか、大変切ない)。ここを書くと、営業妨害になるので、読みたい人は角川『俳句』をお買い上げになるか、立ち読みしてください。写真もキュートです。


P.S.「17字の冒険者」の野口る理八句「博物館の庭」も、ご覧ください。こういう若者こそ、「名のある俳人」の方々は発掘して、自分の結社にスカウトしたらどうでしょう。編集部気付「野口る理様」宛で、「我が結社にぜひ」ってね。河合編集長も、ほら、巻頭グラビアにいかがでしょうか。



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