主宰代表近詠集(2009.6)
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山尾玉藻 「火星」(pdf)
小川軽舟 「鷹」
三村純也 「山茶花」
満田春日 「はるもにあ」
石田郷子 「椋」
後藤比奈夫「諷詠」
柴田佐知子「空」(pdf)
星野麦丘人「鶴」
今井聖 「街」
本井英 「夏潮」
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花びらを掃き寄せてある夜の土 山尾玉藻(「火星」2009.6)
写生は、歳時記の中の言葉から、物そのものの相貌を取り出し、その体験/感興を「価値」として、季語に還元する。
散り敷いていただろう花びらを、今は掃き寄せてある。あらためて土は黒く、花びらは白い。土は平ら。花びらは、うち重なってかすかな厚みをもつ。
花びらと土が、どちらもひんやりと夜である。
春の波寄す老優の台詞の間 今井 聖(「街」2009.6)
長閑さや芝居じみたる清洲橋 本井 英(「夏潮」2009.6)
老優のパフォーマンスが、春の波のように駘蕩としている、と読んでしまっては、面白くない。台詞と台詞のあいだの、ながながとした空白の時間に、「海では」、たぷーーんたぷーーんと、波が寄せては返している、と読まなければ。
同様に。清洲橋を、のどかに格好良く渡る(たたずむ)私たち、と読んでしまっては、面白くない。ある春の日の清洲橋が、なぜか芝居じみて、そこに長々とあった、と読まなければ。
(上田信治)
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2009-06-21
主宰代表近詠集 2009.6
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