2009年度現代俳句協会新人賞・落選作
党員未満 岡村知昭
雪晴を言われたくなし大鳥居
建国日こむらがえりの酸っぱいよ
燐光の中のあまたの女衒かな
マフラーの粗さよ十五歳未満
風まみれ紐まみれなる御真影
迂回路の土筆はつくし摘みにけり
春光の国の殺菌はかどらぬ
つちふれり大声さらに涙声
春霞セロハンテープ剥がせども
悪食に四月の雨のおびただし
断崖のごとく寝そべり孕み猫
失業や包みひらけば桜餅
喉仏失いつつの不埒よし
晩鐘よ即戦力のはなびらよ
間道へこでまりほどの国産むや
赤軍のいいつけ通り春の蝉
前世は党員たんぽぽの熟す
石棺の蓋どこへやら春暑し
教会やいろはのごとく花水木
黒糖のかたまり口へ風薫る
浜風や伏字にぎわう車掌伝
正社員募集に桐の咲くことよ
なるべくは恩給もらう五月闇
はつなつの晩婚囃す仔豚かな
神兵に水筒ありや麦の秋
党勢の挽回へ麦熟れにけり
はと麦の一切みかど嫌いかな
清貧のあとしまつだよ黒揚羽
よくねむり恩給入りの茶封筒
校庭や輪廻知らずの油蝉
●
2009-08-30
〔テキスト〕岡村知昭 党員未満
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 comments:
コメントを投稿