解題:「泥棒」20句についての覚え書き
さいばら天気
第5位作品? なぜに掲載? 目次をご覧になってそう思われた読者もいらっしゃるかと思います。ちょっと説明しますね。
「豆の木」は1994年9月に結成された同人です。ホームページには「超結社」とありますので、異なる結社からメンバーが集まっているように聞こえますが、現在は、結社に所属しない人もいますし(4、5年前に「豆の木」の会員になった私もそうです)、同人とは多くの場合、異なる結社に所属する人たちで構成されるものですから、「超結社」という看板はすでにあまり意味はありません。けれども、結成当時は、結社間の壁が今よりも高く、なんらかの心意気のようなものがあったものと想像します。
ホームページにはまた「1950年以降生まれの俳句実作者の会」ともあります。年齢制限、というより世代制限があります。現在の構成員は50代から40代が中心です。作風にとくだんこれといった傾向はありません。いわゆる伝統的な句を作る人もいれば、そうでない人もいる。仮名遣いも新旧両方います。
さて、その豆の木で結成2年目から現在に到るまで続いているのが「豆の木賞」です。20句作品を提出し、選考をやります。
結社や同人に賞があるのはめずらしくありませんが、この「豆の木賞」、参加者全員による互選で受賞を決める点がユニークだと思います。各自持ち点6点を最高3点・3作品以上という条件の下、配点します(つまり3点・2点・1点でもいいし、1点ずつ6作品に振り分けてもいい)。配点だけでなく、全作品にコメントを付けます。これが大変です。作品選評とは別に、個別に選句もします。もちろん、作者が誰かはわかりません。このへんは句会と同じです。
2009年度の豆の木賞は21名が参加、9月から10月にかけて行われ、つい先日、結果が出ました。全員による互選の結果、太田うさぎさんの「泥棒」20句は第5位という成績でした。
第5位作品をなぜ週刊俳句に掲載するのか?
1)私が21作品中いちばんいいと思ったから。
2)20句ひとかたまりの連作なので、句をばらして他で使うより、そのままどこかに出したほうがいい。
この2つの理由からです。
こう説明すると、1)について、「なんだと? てめえ、このやろう、個人的にいいと思ったから掲載するだと?」とお怒りになる読者も、なかにはいらっしゃるかもしれません。ごめんなさい。でも、それくらいの勝手は、当番に許されていいでしょう? だめ?
掲載については、まず「豆の木」代表のこしのさんに許諾をいただき、「泥棒」の作者がわかった段階で、作者の太田うさぎさんに掲載をお願いし、快諾をいただきました。
というわけで、週刊俳句の読者が「泥棒」をどうお読みになるかわかりませんが、きっと楽しんでいただけると思います。
なお、2009年度の豆の木受賞は、月野ぽぽなさんでした(受賞作「朝の灯」は来春の「豆の木」誌に掲載されます)。ご心配なく。週俳当番として抜かりはありません。月野ぽぽなさんには、近々、10句書き下ろし作品で「週刊俳句」にご登場いただきます。こちらも楽しみにお待ちください。
その他の How to Steal a Million(おしゃれ泥棒)に関する動画≫こちら
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2009-10-18
解題:「泥棒」20句についての覚え書き さいばら天気
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