2010-02-14

〔新撰21の一句〕山口優夢の一句 西村麒麟

〔新撰21の一句〕山口優夢の一句
食べ過ぎなさい……西村麒麟


小鳥来る次にからすがやつて来る  山口優夢

そうですか、と、言ってはならない。何度か読んでみて欲しい、ことりことりからすからす・・・、僕にはこの句が気になって仕方がない。何度読んでも・・・大した中身がない、しからば駄目句でござる、と、言ってはならない。優夢氏の百句を読むと、なぜかここでひっかかる、ほんとうに駄目な句は水のようにひっかからないはずだ。この句、作者は喜ばないかもしれないが『かわいい』、あまりに『かわいい』俳句です。この小鳥、このからす(やはり鴉ではなく)、絵本の中の、ことり、からすのように明るくかわいい、このからすはゴミを荒らさないだろう、このからすは小鳥をイジメないだろう。この句、あまりに何でもないが、それは蜜をかけないホットケーキのように、素朴で優しい。なぜだろうか、それは大した中身がないから、僕にはその事が、赤ん坊のような健全な空っぽを感じさせる、そういったものは誰からも愛される。 からすの後にまた違う鳥が、優しい鳥がやってきそうな甘い予感が、僕がこの句を好きな理由かもしれない。

最後に優夢氏について、31頁を見て欲しい、印象に残るのは、誕生、第一声は「まんまんまんま・・・」
そして彼の写真。僕にはこの写真、「まんままんま・・・」と聞こえてくる、そんなはずはないのだが、聞こえてくる・・・。再び百句を読み返すと、優夢氏がいかに勇敢に、貪欲に句作をしているのかが伝わる。もしかしたら五年後、再び優夢氏が百句を自選する時、神野紗希氏が九十句の新作を見せてくれたように、全く違うものになっているのでは、という期待感がある。

まんままんまと優夢氏がお腹を空かせて俳句を食べる。





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