2010-03-14

第1回「週俳・投句ボード」鴇田智哉・撰

第1回「週俳・投句ボード」2009年2月/3月の俳句から

鴇田智哉・撰


○下萌や楽器ケースの重さうな  金子 敦

楽器ケースをかかえた人を、作者が見ているのだろう。重さうな、から持っている人の初々しさがわかる気がする。下萌のしずかな色彩。


○花鳥や石橋楽器梅田店  猫髭

字の並びが、不思議な響き合いをみせている。ほんとに響いている。


○器より草餅剥がす音したり  近 恵

買ってきた草餅かな。透明なパックに入っているやつかと思う。音からひんやりした感じが伝わる。


○金槌と石頭ゐて春の池  三島ゆかり

金槌くんと石頭さんが並んでいる、みたいなコミカルなおもしろさ。春の池がまた、ばかっぽい。


○春田までトランペットの音聞こゆ  金子 敦

だれかが練習している。歩いていて、ふと聞こえた。何かが動き出しているような、三月ごろ。


○店の奥地虫の出づる気配あり  minoru

店の奥が家になっている、昔からある店の感じ。その奥の方が暗くて。


○田螺鳴く深夜食堂明々と  七風姿

国道沿いの食堂か。トン汁と、どぶどぶの親子丼とか食べたい。


○梅が咲く砲丸投げの銀漢だ  とよチャンネル

どんな風景かが、最後までわからなかったけれど、「砲丸投げの銀漢だ」が、この作者の肉声という感じがして、この部分とても気に入った。


○梅林を載せる地面のかなしくて  三島ゆかり

載せてある、と見た作者の寂しさが伝わってきた。


○毎日が閉店セール春朧  七風姿

見る風景ではあるが、春と朧を重ねたことで、ぐんとおもしろくなった。

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