踏青 藤田直子
啓蟄や床を剥がせば土見えて
大叔父の麦踏みに行きそれつきり
一筆箋ばかりを書いて花きぶし
嫁姑ゐて青饅に酢が足りぬ
柄(つか)に手をかけて覚めたる春の夢
桜ちる夜やくちびるに血のにほひ
桔梗の芽母の手足をこすらねば
池の端の生家朽ちたる八重桜
陽炎の野を抜けし身の細りけり
踏青や足跡のこるべくもなく
●
2010-04-11
10句作品テキスト 藤田直子 踏青
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photo by Tenki SAIBARA
踏青 藤田直子
啓蟄や床を剥がせば土見えて
大叔父の麦踏みに行きそれつきり
一筆箋ばかりを書いて花きぶし
嫁姑ゐて青饅に酢が足りぬ
柄(つか)に手をかけて覚めたる春の夢
桜ちる夜やくちびるに血のにほひ
桔梗の芽母の手足をこすらねば
池の端の生家朽ちたる八重桜
陽炎の野を抜けし身の細りけり
踏青や足跡のこるべくもなく
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