2010-11-07

【週俳10月の俳句を読む】西村 薫 口の端にケチャップとマスタード

【週俳10月の俳句を読む】
西村 薫
口の端にケチャップとマスタード


ざらざらの壁に吊られてゐる楽器  村田 篠

コンクリートや木目などの素材を生かした内壁や天井の質感と
デリケートな楽器の組み合わせの危うさが面白い


高度三万フィートの夜明水澄めり  村越 敦

高度三万フィートの空を飛ぶジャンボジェット機で迎える夜明け
日本的情緒の「水澄めり」が効果的で容易に追体験できて爽快

秋晴の港とホットドッグかな  村越 敦

この句も作者と思いを共有できる
潮の香りのするいくらか寂びれた港と青空を眺めながら
口の端にケチャップとマスタードつけて頬張るホットドッグ


ゴミ箱の底を叩いて野分中  清水哲男

「ゴミ箱の底を叩いて」と「野分中」の衝撃度がいい
ゴミ箱の底を叩く動作と野分が垂直、水平に作用して効果的


弟よ水道代を貸してくれ  くんじろう

兄弟に生じる生活環境の違い
兄弟、或いは姉妹の経済的格差は関係をぎくしゃくさせる
持っているほうが多少融通するくらいで終わればいい
「水道代」という切実なものを出したところが巧み


ラケットに光あつまる水の秋  杉山久子

屋外だからテニスラケットと思うが
太陽の光がラケットのどこかに反射して白く光る
シンプルな構図がいい
空気が澄明

体育の日の鳥影を仰ぎけり  杉山久子

今日は体育の日、何か身体を動かさなくちゃと思いつつも
若者のようにその辺を走り回るわけにもいかず
ふと空を見上げると鳥影が一羽二羽・・・
大空を自由に飛んでいる

秋茄子に不穏の色のそこかしこ  杉山久子

「秋茄子の漬け色不倫めけるかな  岸田稚魚」
不穏と不倫では趣を異にするが、どちらも心穏やかな言葉ではない
紫は洋の東西を問わず高貴な色
だからこそ不倫も不穏も生じてしまう


ほほずりの夜となりにけり虫の秋   俳句飯

頬ずりは幼い子どもにするものだが、愛し合う恋人同士でも構わない
虫の夜


村田 篠 棘 メキシコ雑詠 10句 ≫読む
村越 敦 ムーミンは 北欧雑詠 10句 ≫読む
清水哲男 引 退 10句 ≫読む
石井浩美 ポスター 10句  ≫読む
くんじろう ちょいとそこまで 10句  ≫読む
杉山久子 露の玉 10句  ≫読む

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