〔週俳11月の俳句を読む〕
鶴岡加苗
足で稼いだ
11月の週刊俳句のレギュラー10句作品はそれぞれに個性的で読み応えがあった。惹かれた句もたくさんあったし、10句をまとめて読んだとき、その作者の俳句性・作家性のようなものも伝わってきて、10句という(多すぎでも少なすぎでもない)句数の力を改めて考えさせられた。
しかし今回は、あえて投稿作品からの異様なる一句を挙げさせて頂く。
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蛇を食ふ女のショーや酉の市 高橋透水
題の「ぶらり・酉の市」のとおり、酉の市を訪れた際の嘱目なのだろう。少なくとも残りの9句は。
この1句のみ、えっ本当に?とつっこみたくなる程異様なのである。酉の市で本当にこんなショーをやっているのだろうか。
真偽は分からない。しかしながら、熊手がところ狭しと並ぶ様やあの景気のよい手締めは、ある種のいかがわしさを感じさせる。他のどんな祭より「俗」な雰囲気が漂っているのだ。そんな酉の市のはずれにて、こんな一場面に出くわしたなら、それは即一句にしなければならないだろう。
足で稼いだ(と思われる)一句に一票を投じたい。
■彌榮浩樹 昼の鞄 10句 ≫読む
■武藤紀子 ゲバラの忌 10句 ≫読む
■柘植史子 鎌 鼬 10句 ≫読む
■清水良郎 父の頭 10句 ≫読む
■近 恵 赤丸 10句 ≫読む
■久留島元 五十音図(抄) 10句 ≫読む
■山口優夢 冬の一日 10句 ≫読む
■寺澤一雄 秋 九十九句 ≫読む
■山口都茂女 泊まつてけ 10句 ≫読む
〔投句作品〕
■久乃代糸 肌ざわり ≫読む
■富沢巧巳 魚の粗をしゃぶる会が詠む ≫読む
■高橋透水 ぶらり・酉の市 ≫読む
■矢野風狂子 兎は逃げた ≫読む
■俳句飯 つくりばな ≫読む
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2010-12-12
〔週俳11月の俳句を読む〕鶴岡加苗 足で稼いだ
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