2011年新年詠(1)テキスト版
新年や海を真横に一輪車 赤間 学
初鳩やいつもの枝に首傾げ 浅見 百
田作りの器に深き海の色 五十嵐義知
白き國淋しき雑煮箸祀り 五十嵐秀彦
太箸に食ふうつし世のうどんすき 生駒大祐
凡そは見えたり餅は膨れたり 市堀玉宗
暗転ししばらくは冬鷗鳴く 今井聖
巨き人やがて曙光とともにめざむ 宇井十間
はつすゞめ水散らばつて戻るかに 上田信治
初雪のやうにちやほやされてをり 上野葉月
餅花にひかりとどけば闇華やぐ 大井さち子
初御空映して深き潦 大島雄作
深酒や年を送りし目の冴えて 小川春休
餅花の鄙を尽くしてをりにけり 櫂未知子
鳥たちにありあまる空初比叡 川嶋一美
前髪のすぐに伸びゆく初鏡 河野けいこ
並び順やうやく決まり初写真 熊谷 尚
一巡りしてこの景色初日の出 久留島元
両隣に引きこもりゐる初日の出 小池康生
海に浮く木板一枚初日の出 神野紗希
去年今年ひたすら栓を抜いてゐる 小久保佳世子
去年のいつ湧き出で来たる淑気かな 小早川忠義
初春や金に輝くもの下げて 米男
朝のうち波の屏風ぞお元日 近藤栄治
初御空くろがねの塔伸び続け 堺谷真人
一兎をも得ぬ初夢のそのまんま 佐山哲郎
煮崩れの初日ぼくらの顔面に 佐藤文香
元朝や大地裂け初めたる神代 澤田和弥
おほかたは忘れし父に年酒くむ 柴田佐知子
屠蘇酔の手の包丁と鋏かな 島田牙城
たたなわる夢の此の世の初明り 下山田禮子
泣初の嬰児にいや重け吉事 杉原祐之
新日記めくりそこねて指を切る 鈴木茂雄
太陽柱(サンピラー)立つ方をしも恵方とす すずきみのる
死兎抱きをるボイスの写真読初に 関 悦史
再放送のドラマ歌留多始めけり 瀬戸正洋
ここにCoCo壱番屋あり春を待つ 鷹井はるみ
大空に飛行機雲や初日の出 高橋透水
初旅の乗り換へ駅の待ち時間 田口 武
べとつける濃縮練乳去年今年 谷口智行
青い眼の人が福袋を買つた 茅根知子
音階のひとつと思ふ初御空 常盤 優
シーソーのつり合つてゐる初景色 仲 寒蝉
森の入口息白く富む家族 西川火尖
去年今年ふにふに動く象の鼻 西村麒麟
しづかなるひとのうばへる歌留多かな 野口る理
むささびの年守る森の昏さかな 広渡敬雄
年が明けたのかケータイ閉じて寝る 福田若之
冬の星ハンカチ玻璃に張りて干す 藤本る衣
元旦や一家総出にバス待てる 古谷空色
一筋の飛行機雲や初茜 前北かおる
初夢やドールハウスにゐて一人 増田 守
玉砂利や靴底に神淑気満つ 真鍋修也
両面テープでとめる橙鏡餅 三浦 郁
笑い合って元日の朝刊の厚さ 宮崎斗士
一月一日ナースコールと鈴 宮本佳世乃
逆光や年はしづかにあらたまる 村井康司
元日の賑わつてゐる釣具店 村田 篠
住職の青ジーパンの三日かな 矢口晃
母方の鼻あつまりて御慶かな 矢野玲奈
悪人の仕事は悪事お正月 矢作十志夫
お降や湯にちぢみゆく鰹節 山口昭男
年新た海のうねりは日のうねり 山口優夢
孝はただ先立たぬこと初明り 山﨑百花
テレビに半裸の男ゐて雑煮 山下つばさ
姫はじめ人に尾骨のありにけり 山田露結
声帯を震はせてをり大旦 吉田悦花
初夢につながれている兎の眼 四ッ谷龍
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2011-01-02
2011新年詠(1) テキスト版
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