誤植通知
傘[karakasa]編集部/上田信治
前略「傘」vol.2 を受けとって、すぐに、間違いに気づいたので、越智さんに連絡をしました。
この度、「傘」vol.2に掲載されている24頁の「速度がもたらす『世界』」の文章において誤植がありましたことを発表させていただきます。
24頁上段
【誤】俳句から、季語のコノテーションと文語的言い回しを切り離して、浮力を得るつもりらしい。「傘」の中の人に、感想を聞いてみたい。
【正】俳句から、季語のコノテーションと文語的言い回しを切り離して、浮力を得るつもりらしい「傘」の中の人に、感想を聞いてみたい。
執筆者である上田信治さまや読者の方々にご迷惑をかけ、上田信治さまの真意とは逆の印象を持たせてしまう恐れがございましたので、葉書での連絡というかたちをとらせていただきました。これからも「傘」をなにとぞよろしくお願いいたします。敬具平成23年4月13日 越智友亮 藤田哲史
越智さんは、1.ツイッター 2. 「傘」サイト 3.「週刊俳句」(可能であれば ) 4. 購読者、寄贈先にはがき の順で、誤植の通知をする、と言ってくれました。誠実な対応に感謝です。
ふつう句点「。」一個の誤植で、こうまでしてもらわなくてもいいのですが、今回の場合、この「。」一個で、意味が真逆になってしまうという「今日は雨が降る天気ではない」のような面白いケースだったので、できるかぎりの訂正をお願いしました。
「傘」vol.2 の宣伝もかねて、どう意味が逆になるか、解説させてください。
●
「傘」vo.2 掲載の拙文「速度がもたらす「世界」」は、「波多野爽波におけるライトヴァース」を、という越智さんからのリクエストによるものです。
じつは、そのリクエストには、「俳句におけるライトヴァースの定義は、同号掲載の越智論考のそれを使用してください」という縛りがついていたんですね。
「ライトヴァース」は、定義がむずかしいことばで、越智さんが資料にしてる「現代詩手帖」(一九七九年五月号)の座談会でも、谷川俊太郎・新倉俊一・川崎洋の三人が集まって話しているんですが、けっきょく、何がライトヴァースか、よく分からない。たぶん「定義ムリ」な言葉なんですね。
今回の越智さんの定義というのは「季語に重きをおかない」「口語的発想」で書かれた俳句を、ライトヴァースと呼ぶ、というものでした。
はい。その定義はべつに悪くないですけど、ぼくは特に賛成はしないですよ(爽波もたぶん)。それでもよければ、書きますと返答したら、それでいいということだったので、書かせてもらいました。前に「ただごと」論で書いたときのそれとは、ちょっと違う爽波論になったと思います。
誤植のところは、冒頭の一節です。少し前から引用させて下さい。
●波多野爽波(1923ー1991)の晩年には、軽いと言うのもばかばかしいような、いくつかの句がある。
だから縕袍はいやよ家ぢゆうをぶらぶら 『一筆』時代
月今宵犬猫病院急患あり
たんぽぽをくるくるとヤクルトのおばさん
お昼頃ラクダのシャツの干されけり 『一筆』以後
肝つ玉母さん賀状書きに書く
●これは、いったい何なのか。俳句から、季語のコノテーションと文語的言い回しを切り離して、浮力を得るつもりらしい「傘」の中の人に、感想を聞いてみたい。
これが、原文です。「季語のコノテーション(含意)と文語的言い回しを切り離して、浮力を得る」というのは、つまり越智さんのライトヴァースの定義のことです。つまり「俳句〜らしい」の部分は「「傘」の中の人」にかかる。
ところが。
ここに「。」が入ってしまうと、爽波が、季語と文語から切れようとしていた、ことになってしまう!
爽波に限って、それは、ありません。
爽波が、その二つを俳句に必須と思っていたからではありません(虚子ですら、俳句が将来口語になるのは構わないと、言っていますから)。爽波は、作句に先立つ意図のすべてを否定するはずだからです。
たしかに「季語を噛み砕け」とは言いましたが、それも、おそらく、季語を生の現実の生々しさにおいて詠め、という意味で、ともかく「つもり」とか、そういうものが、爽波にあるわけがない。
訂正させてもらって、よかったです。
●
「傘」vol.2 は、たいへん面白いです。
作品もいい。
そういえば、佐藤雄一さんは、前、ツイッターで、詩と pixiv と結社制度をくっつけたみたいなSNSを構想中みたいなことを言われてて、面白かったけど、その話は出なかったのかな。
あ、これだ。
http://togetter.com/li/58550
あと、このへん。
http://togetter.com/li/24608
ん、佐藤さんは、俳句は、儲かってると思ってるの?
傘[karakasa]サイト
傘[karakasa]vol.2 申し込み
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