2011-05-29

〔超新撰21を読む〕上田信治の一句 松尾清隆

〔超新撰21を読む〕
大人って…
上田信治の一句……松尾清隆


測量の一人は梅の下に立ち  上田信治


『超新撰21』の帯には「降臨!俳句の大人たち」というコピーが大きめの級数で配されている。前年に刊行された『新撰21』にくらべると収録作家の年齢が高く設定されているということなのだろうが、失礼を承知で言うと、かなりの違和感をおぼえた。むしろ、やんちゃ(失礼!)な作風と言えそうな作者の割合が増しているように思うからだ。もちろん、何をもって「大人」と感じるかは人それぞれであり、感じかたは自由である。その自由を行使して、私なりに「大人」を感じた句を挙げさせていただく。

鶏頭に西瓜の種のやうな虫
うつくしさ上から下へ秋の雨
押入を開けて布団の明るしよ
天井の暖房器具の口開く
昼の月水栽培のヒヤシンス
室内のひかりのなかを春の蝿
ゆつくりと金魚の口を出る小石

上田信治氏の作品群である。氏の作風については「ただごと」「ナンセンス」という見かたもあるようだが、私には「大人」と思えた。中でも、とりわけ強い印象をのこしたのが、冒頭に掲げた一句なのだった。

 賢者とはすべてに驚く人である。(アンドレ・ジード)



『超新撰21』・邑書林オンラインショップ

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