〔週俳6月の俳句を読む〕
堂々と自分の道を
杉原祐之
6月の週刊俳句寄稿の作品は2人・2作品のみであったが、私の同世代の生きの良い作品をを拝見することができた。
生駒氏の色々と工夫を試行錯誤している様子と、村上氏の自信に満ちた堂々たる写生句。共に楽しめました。
夏の客人漂うて来て椅子にゐる 生駒大祐
幽玄的な一句。「夏の客人(まろうど)」が白く痩身であろうか。「椅子にゐる」と言う下五で句全体が冷んやりとした雰囲気が漂う。
しらたまはことばとなれるときまろし 同
技巧的な句。解釈しては一句に表現されているままであるが、平仮名書きの柔らかさが相応しい。
羽抜鳥骨透けてゐてみだらなる 同
季題は「羽抜鳥」。抽象的な使われ方が多い季題だが、この句もその一連の流れか。下五「みだらなる」という捉え方が作者の個性か。
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白菖蒲切つ先高き葉の奥に 村上鞆彦
季題は「菖蒲」。全うな写生句ですが、白菖蒲の清新な咲きっぷりを描くことに成功している。手前側の菖蒲は紫色なのであろう。
まだ息の絶えざるものに蟻たかる 同
季題は「蟻」。「息も絶え絶え」な対象を特定をしていないことで、そこに集る蟻の群れに焦点が絞られるようになっている。
海を見に行く白靴のおろしたて 同
季題は「白靴」。解釈はそれほど難しい句ではないが、「海を見に行く」で一拍切れ、「白靴のおろしたて」で視線が足元に落ちるようになっている。これも視線の動かし方が良く計算され大変上手な一句。
第215号 2011年6月5日
■生駒大祐 しらたま 10句 ≫読む
第217号2011年6月19日
■村上鞆彦 海を見に 10句 ≫読む
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2011-07-03
〔週俳6月の俳句を読む〕杉原祐之
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