2012-04-29

週刊俳句5周年記念オフ会録・今宵一句

週刊俳句5周年記念オフ会録
今宵一句


歓声の真中に春の蝿が来る 茅根知子

森しあわせ光に春の蚊を浮かべて 池田澄子

尺取がおのれの糸をのぼりつつ 野口 裕

窓に来る蜂の向うのビルには人 佐川盟子

葉櫻のきらりきらりと五歳なり 齋藤朝比古

新緑の片すみにある俳の宴 上野葉月

水脈へ落花の還る音しきり 近 恵

ふらここの傾いたまま揺れている 小林苑を

ガムラン唄ふツルカメツルカメ新樹光 関根誠子

かげらふや音の生まるる蝶番 宮本佳世乃

春の丘スルメ踊りを見たという かまちよしろう

駅裏に昼酒の路地夏近し 佐山哲郎

手拍子のときも猫背や人の春 佐藤文香

オフの夜ビールもドームも膨らみて 小久保佳世子

東京ドームから大歓声花墜ちる 寺澤一雄

美しき短冊売られたる晩春 北川あい沙

ガムランの音より夏の兆しけり 榊 倫代

五年目も牡丹真白きめでたさよ 松野苑子

暖かや部屋の隅にてコルク抜く 岡本飛び地

冷酒や戦艦大和忌であれば 広渡敬雄

今一歩踏み出してみる花だいこん 青葉 有

目のなかに花の流るる金目鯛 小川楓子

談笑の怪談めいてくる春宵 松尾清隆

さみどりに連なる記事よ五周年 沖らくだ

涵徳の意味を知りたる春の夜 小林鮎美

マタドールさいの河原に芋植うる 藤 幹子

霽酒を張れば玻璃盃華やげる 堀田季何

休日をビールうつとりとこぼれ 野口る理

ゆらゆらと洋酒や春の星見えて 村越 敦

葉脈のあかるき春の風と去る 田島健一

春眠のわが大遅参許されよ  榮 猿丸

春今宵涵徳亭も風の中 生駒大祐

がむらんの春ぞ玻璃戸の歪むらむ 西原天気

遠くから来て満開の牡丹かな 村田篠

いくたびの春の座敷の蛍光灯 上田信治

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