2013-01-27

ありんす 雪我狂流句集『天地無用』の一句 西原天気

【句集を読む】
ありんす
雪我狂流句集『天地無用』の一句


西原天気


先日、NHKテレビ「歴史秘話ヒストリア」という番組で「花魁」を取り上げているのを面白く観たが、へぇ!(なつかしい)と吃驚するような情報はなかった。それは、以前、同じNHKの「ブラタモリ」の「吉原」特集を観たせいもあるだろうが、それよりも、私たちに、吉原や花魁についての知識がなんとなく備わっているからだろう。歴史学や国文学を通して系統的・専門的に学んでいなくても、知識が(断片的に浅く)蓄積されている。番組内で女性アナウンサーが花魁の格好をして歩くシーンで、いっしょに観ていた妻が「あんな歩き方じゃないよね」と咄嗟に言ったのは、その証左だろう。

爪先でここでありんす蕗の薹  雪我狂流

蕗の薹の在りかを示す。あの黒塗りの下駄を履いた花魁のように/花魁を真似て、「ここでありんす」と。

で、ふと思ったのですが、吉原や花魁のことをまったく知らない人たち、軽い歴史的知識としても、庶民の常識としても、これを知らない人たちがこれからさき増えていくかもしれない。そうした人たちには、この句は一瞬で伝わらないのではないか。まあ、そうならないように、NHKは、がんばって歴史番組をつくっているのだろうけれど。


句集『天地無用』(2013年1月)はA6判のてのひらサイズ。簡易なホッチキス留めの自家製の句集。雪我狂流さんは1年に数回、このスタイルで句集を出し続けている。体裁からいえば「季刊個人俳誌」みたいにも見える。

ほか何句か気ままに。

十一月の雨が降るなり墓は石

義士の日の犬のうんこを持ち帰る

鳥の巣の様に置かれし冬帽子

蒲鉾の厚さ見てゐるおらが春



歴史秘話ヒストリア「花魁の真実~江戸・吉原遊郭の光と影」

ブラタモリ 第9回 江戸の盛り場 吉原編 巨大遊郭のヒミツ!

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