2013-02-03

10句作品テクスト 宮本佳世乃 咲きながら

咲きながら  宮本佳世乃

冬麗の布をひらいてゆく瞼

誰よりも大きな石の冷たかり

冰りたる水面に奥のありにけり

かうかうと氷に空がある拝む

猟銃のまぶしき音の一度きり

日脚伸ぶいまらふそくのらのあたり

鳥がきて雪の林のひかりけり

幣束の揺れたる風と春を待つ

咲きながらおほかみの足跡のゆく

富士山にゆふがたのあり冬終る

0 comments: