1句ずつ選ばせていただきました
上田信治
65作品から、1句ずつ、選ばせていただきました。
御意に適う句がありましたでしょうか。
ぜひぜひ、各10句にも、お目通しください。
≫第3回週刊俳句10句競作全作品
タイトルのあとに(*)がついているのが、予選通過作。
本選ライブが楽しみです。
1.死真似
木の芽雨のっぴきならぬ音立てて
2.薹
祝祭の歌を並べて鞭の冬
3.黙
なにもなき庭に廊下のうす明かり
4.傾ぐ癖 (*)
雪解の橋がびしよびしよ昼の月
5.ひと (*)
・・・・・さて渉らむか天の川
6.寒
額縁を右に傾げてゐる寒夜
7.雪痕
指さしてこれはスノーチェーンの痕と
8.雪の国
雪国の中の私の雪の国
9.横断
灯台に毒蛾発生西瓜喰ふ
10.座頭市
無駄なことおよしなさいよ冬が来る
11.ビュンと
野鼠を僧侶へ昇華する調べ
12.サドゥバリー
真ん中の沈みし屋根に雪積もる
13.冬がひとり行く
ふたつ猫おいっと呼べば逃げていく
14.共鳴 (*)
くちびるのやはらかさにて花ひらく
15.さっきまで (*)
運動会だつたやうだねさつきまで
16.俳句
主婦の手をこぼれし浅蜊口開かず
17.花綵列島
探梅に一枚岩となりゆけり
18.山笑ふ
雪解野に指切りの指探しけり
19.失職日
あうあうと終いの冬を食べている
20.鬼の村
先祖代々鬼の裔なる村祭り
21.家出
ぼくとぼくとぼくがころんだ
22.待春
春待つ言葉キーボードより溢れ
23.瓶の底
むらさきの折鶴に息吹けば雪
24.記憶
厳寒の絶対に動かない石
25.喪失 (*)
こんなに晴れて税金のしくみが解らぬ
26.桃の花
向日葵やエゴン・シーレのために枯る
27.肩こり (*)
肩こりの広がっていく寒の雨
28.日曜日 (*)
花の種蒔いてしづかな日曜日
29.春の雪
春の雪枝のみかんの皮のこる
30.採光 (*)
下萌や人集まつて袋置き
31.雪の華
サボテンをふはりと包み雪女
32.猫の子 (*)
卓袱台を三つつなげる春祭
33.ドーナツの穴
厨房に春待つシェフの腕時計
34.門限 (*)
カステラの描写細密寒波来る
35.風の日 (*)
春めくや塀より長き箒の柄
36.頭蓋の聖母
わが脳の吠え猿どもがまた孕み
37.なんまんだあ
鮪はしるよ雪夜も瞼ぴかぴかと
38.上毛かるたのうた
ね:ねぎとこんにゃく下仁田名産
裸踊りは猿後家の
葱とこんにやく
いらんかえ
39.帽子 (*)
マネキンに涙描かれ冬の蝶
40.みなしご (*)
ひらがなでつくる小鳥や雪のこゑ
41.モヨロ人
雪しまく庭真っさらにカレーそば
42.何の国 (*)
振付をぬるぬるとして春の山
43.家霊 (*)
かげろひて鳥の骸をつつく鳥
44.不穏
水仙と棍棒紙につつまるゝ
45.ショー (*)
黒兎抱かれシャンソンの中は雨
46.メルヘン (*)
きれいなドラえもんきたないドラえもん
47.越冬
木の芽風だんだん太くなるピアス
48.お年頃 (*)
蝶々のこぼれる涙袋かな
49.風花
二階には人がいるらし夏の雨
50.わたしの音楽
ジュークボックス叩けば唄ふ春の暮
51.新世界心中
仔猫もろとも終の戦車に乗り込まう
52.その時
薔薇愛でる配管工にある疑惑
53.夏草 (*)
葉桜や机の下で打つメール
54.FUKAIPRODUCE羽衣「サロメvs.ヨカナーン」より (*)
雨粒はチュッパチャプスのごと長閑
55.転ぶ (*)
はぶらしに水の妖精いつも居る
56.オートリバース (*)
朧夜にロールキャベツは泳ぐなり
57.親しき水
こな雪のすきますきまに青の粒
58.春ですね!
春の野にでんぐり返る森光子
59.頽落の日々 (*)
主老ゆ春蚊のごとく訪ぬれば
60.自由帳
冬の夜やビニルの覆ふ屋台村
61.春水 (*)
一列になりて歩くや水温む
62.カミングスーン
陸橋のみんなが手ぶらしゃぼんだま
63.絡繰
日のあるうちに三月となりにけり
64.見えぬもの (*)
鳥帰るプレハブ校舎に換気扇
65.異識墓
邂逅の冬腐食する雷光
ご応募いただいた、みなさま、誠にありがとうございました。
●
2013-03-17
1句ずつ選ばせていただきました 上田信治
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 comments:
コメントを投稿