自由律俳句を読む 28
畠働猫 〔2〕
馬場古戸暢
前回に引き続き、畠働猫句を鑑賞する。
きずついた夜を切り取る月がほそい 畠働猫
観念的なためか、細かな句意をとるのは難しいが、傷心のために弱り切っている様子が伝わってくる。
夕やみが涼しい洗い髪におりてくる 同
シャワーを浴びて階上からおりてくる、夏の夕の女を詠ったものだろう。居間では、野球の中継をみながらビールを飲んでいる作者がいたのではないか。
人妻が帰ってくれない五月闇 同
人妻と五月闇の組み合わせにどきっとする句。守るべき一線はどこにあるのか、その一線を結局はどうしたのか、読み手ははらはらせざるを得まい。
夜蜘蛛が月を曳いてきた 同
ロマンチックといえばロマンチックな景。しかし蜘蛛が月を曳くとは、いったいどのような状態となるのだろうか。
春の夜どこまでも青信号が続いている 同
作者は北海道在住なので、広大な北の大地の様子を詠んだものかもしれない。盗んだバイクで走りだすにはちょうどよい、春の夜の一幕なのであった。
2014-01-26
自由律俳句を読む 28 畠働猫 〔2〕 馬場古戸暢
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