2014-02-16

自由律俳句を読む31 きむらけんじ 〔1〕 馬場古戸暢

自由律俳句を読む31
きむらけんじ 〔1〕

馬場古戸暢


きむらけんじは、自由律俳句結社『層雲』同人。第一回尾崎放哉賞を受賞して以降、四つの句集を刊行し、写俳展「自由ほど不自由なものはない」を開くなど、精力的に活動している。今回は、第四句集『きょうも世間はややこしい』(象の森書房, 2013)より、数句を選んで鑑賞したい。もっとも、この書誌については、句集というよりも写俳エッセイと呼んだ方が適切のようである。

取り説跨いで猫は野に   きむらけんじ

きむらけんじ句には、猫を詠んだ句が非常に多い。取扱い説明書が置いてあった縁側の外には、野が広がっているのだろう。「旅立ち」などという題名をつけたくなる景。

春の田の君は子作りから米作りまで  同

農家出身の女性ではなく、農家に嫁いだ女性を詠んだ句とみた。春の田に立つ、遠くからやって来た君は、さぞ美しかったことだろう。

嘘をついた口をすすぐ  同

そんな口となってしまう日もあろう。私も先日、嘘をついた口をすすいだばかりだ。

滑って転ぶ彼女と目が合う  同

そんな日もあろう。ここでの咄嗟の対応如何によって、今後の彼女との関係は変わってくるのである。

乳房半分見せて道を訊かれる  同

男性にとっては、少しばかり嬉しい日常のひとこま。この日の天気は晴れであったに違いない。

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