2014-05-11

【週俳4月の俳句を読む】すこしの差異 対中いずみ

【週俳4月の俳句を読む】
すこしの差異

対中いずみ



土よりもすこしあかるく雉あゆむ  川嶋一美

目の前の藪越しに雉が歩いていくのを作者は見止めた。

雉の雄は、かなり派手な色だから、この雉は茶色の雌だろう。

「土よりもすこしあかるく」は、想像上でも作れそうだけれど、実際に眼前にしてこそのリアリティのある把握だと思う。同じような色でありながら、少しの差異がある。日の光のなかを生きて動くものの色なのだと思う。


蒲公英の絮飛び終へて茎の赤  山下舞子

蒲公英は子供の頃からずっと見慣れた花だけれど、それでも突然あらわれるあの元気な黄色の花と、突然あらわれるふわふわの蘂の全円には、胸を突かれる。

でもこの句は、花でもなく蘂でもなく、蘂が飛んだあとの茎を詠んでいる。「茎の赤」。参ったな。

たとえば「蒲公英の絮飛び終へて」の後の五文字を、自分の心情などで詠んでしまうと句は甘く流れてしまう。

一口に写生と言うけれども、物に即して物に執して一句を成す、そのことの強さを改めて気づかせてくれた。


第363号 2014年4月6日
川嶋一美 あゆむ 10句 ≫読む  
近 恵 桜さよなら 10句 ≫読む
第364号 2014年4月13日
西村麒麟 栃木 10句 ≫読む
野口る理 四月10句 ≫読む

第365号 2014年4月20日
曾根 毅 陰陽 10句 ≫読む
第366号 2014年4月27日 ふらここ・まるごとプロデュース号

山本たくや 少年 10句 ≫読む
仮屋賢一 手紙 10句 ≫読む
木田智美 さくら、散策 10句 ≫読む
山下舞子 桜 10句 ≫読む


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