自由律俳句を読む45
喜谷六花〔1〕
馬場古戸暢
喜谷六花(きたにりっか、1877-1968)は、曹洞宗の僧侶でもあった。ホトトギス主催の蕪村忌に出席して碧梧桐と出会って以降、碧梧桐に師事し、『海紅』において活躍した。なお一碧楼没後には、選者を担当するに至っている。以下『自由律俳句作品史』(永田書房、1979)より、数句を選んで鑑賞したい。
女白い腕を見する菜種が青くなつた 喜谷六花
女の白さと菜種の青さの対比が美しい生活詠。きわめて男らしい句だと思う。
鮟鱇の煮え隣の男の肘がさはる 同
食堂や会食でのひとこまか。現代でも詠まれそうな、味のある句。鮟鱇を食べてみたくなった。
からたちの花吾が日々の行持にちにち 同
次の句と同様、僧侶らしい一句。六花のお寺の境内には、からたちが生えていたのだろう。熱心な様子が伝わってくる。
礼仏子に怠らせず春の朝々 同
曹洞宗の僧侶であった六花らしい句。若干説明が冗長な気もするが、お寺にあってはこれが日常の景なのだろう。ゆっくりとした時間が流れて行く。
2014-06-01
自由律俳句を読む45 喜谷六花〔1〕 馬場古戸暢
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