2014-11-09

10句作品テクスト 九里順子 心なき窗

九里順子 心なき窗

心なき窗より鴫の飛び立てり

山水を嵌めて花鳥の塒かな

羽化登仙爪の先まで草紅葉

ひとふでで描く稜線野紺菊

秋寂びの声が出てくる喉ぼとけ

その窗の深さに秋日差し込まぬ

わたくしを骨まで愛せ鰯雲

すつぴんでするりセーター脱ぎながら

柿色に燈るはるかな夜長かな

月の蝕一重瞼は窓になる

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