花束 泉かなえ
鉛筆を削るにほひや夏座敷
ハンカチの刺繍うらがはよりなぞる
誰からも見られたい夜百日紅
夕食はオムライス蠅取リボン垂れ
白鷺の羽落ちてゐる踏まずに歩く
秋めくや糊色の麻婆豆腐
まつすぐに田の刈り跡や父が立ち
筆先の墨やはらかく天の川
砂壁をたどる踵や冬に入る
まとふ身にセーターが合ふやうになり
ほつかぶりしてけと祖母に見送らる
あつち向いて頬の黒子や冬銀河
日向ぼこ何度でも初めての気分
七人が七人掛けにゐて春日
さくらしべふるiPhoneをよけながら
ひこばえや上唇のはうが好きよ
たんぽぽの花束作つてゐるところ
はつなつののど飴をうらがへす舌
成田行快速のなか葉桜のなか
ミントまで食べてしまへよ夏の星
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2014-12-07
2014石田波郷賞落選展 1 泉かなえ 花束 テキスト
Posted by wh at 0:55
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