微熱 三島ちとせ
せせらぎの上を除雪機通りけり
とある日へ置き去りにする真冬かな
ちいさき手欲しがつてゐる雪だるま
応答せよ風船宇宙変はらぬか
深爪で摘まみし桜貝の熱
掌のでこぼこに合ふ栄螺かな
島唄を覚えるごとく亀鳴きぬ
三線の皮に湿りや春の朝
壺焼す明日横濱港の船
会釈して男子蟻の巣飛び越えり
大学の宿舎で捌く初鰹
句集へと戻れぬ揚羽捕へたり
あぢさゐがあつたら宝くじ売り場
波高き国へ向日葵咲いてゐる
木曜は入浴補助や晩夏光
田園を横切る路線南風吹く
石垣は倅の高さ水の秋
朝顔や音楽準備室に鍵
第一子生まるる微熱星月夜
空耳であらぬ柘榴を割つてゐる
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2014-12-07
2014石田波郷賞落選展 12 三島ちとせ 微熱 テキスト
Posted by wh at 0:33
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