2014-12-07

2014石田波郷賞落選展 2 葛城蓮士  罅 テキスト

 葛城蓮士

萬屋に黄色の値札猫の恋
雪解けて蛇口の水の甘味かな
電灯の錆降りそゝぐ春の闇
雨女しづかに死せり竹の秋
踝の土を払へり花曇
深呼吸夏野に平行線の腕
吊橋の苔を洗ふる驟雨かな
夏蒲団畳んで昼の居場所とす
旱星喉を伸ばして釦解く
隧道に昏き罅あり夏深し
稲光地球儀の夜を写しけり
重陽や舌のやり場はなく眠る
教習車より手信号鰯雲
妹の檸檬を絞るとき殺意
短日や母の不揃ひなる錠剤
買ひ物の袋傾く冬茜
手作りの郵便受けや散紅葉
梟の飛ぶときそつと首しまふ
盛大な嚔の後の声に老ひ
春近し湿布の四隅切り落とす


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