ひかりと水の感覚 木田智美
夏始め道着脱ぎ捨てれば少女
鯉のぼりゆれる痛々しい夜は
薔薇園にサスペンダーの見つかれり
虹を撮る人の写っている写真
ひかり吸い込むため浮かぶ海月かな
自転車に引っかけ錆びてゆく日傘
雷に沿わせて指先のきれい
三角に折るバスの券夏つばめ
大阪の赤しアイスの溶けてゆく
水星に憧れている金魚かな
甘夏や膝に車椅子のタイヤ
河馬の背に乗りし河馬の子アマリリス
昼寝して父は達磨のようになる
飛魚や生えそろいたる親不知
夏芝に入り演奏の止みしジャズ
夕焼けにぐらついている足元
盲導犬の目やに凝り固まる炎暑
先輩の靴のエナメル月涼し
夢に水の感覚のあり夏休み
樹に星の実って夏の終わりかな
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2014-12-07
2014石田波郷賞落選展 4 木田智美 ひかりと水の感覚 テキスト
Posted by wh at 0:49
Labels: 2014石田波郷賞落選展, 木田智美
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