2017-12-10

2017落選展を読む 2 「青島玄武 優しき樹」 上田信治

2017落選展を読む 
2「青島玄武 優しき樹」

上田信治


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魂を鳴り響かせて玉の汗

なんと、大げさなと思う。「玉の汗」だけでも、ちょっと大げさな慣用表現であるのに、しかも「魂を鳴り響かせて」だ。ここには、大げささしかない。

けれど、表現には、毒をもって毒を制するということがあって、この句の主人公は、ロックスターのように美しく、俗っぽく、大げさに、自分はいま、気持ちがいいということを歌っている。

晦日蕎麦どの窓からも星空が

大晦日に蕎麦を食べている。いま窓を開ければ星が見えるだろう。家中のどの窓を開けても、今日の星はきれいだろう、いや、町中のどの窓を開けても、星は見えるよ。どうですか、町のみなさん。

大晦日とクリスマスには、神様の視点を持つ。これも、俗っぽくて大げさな発想だけれど、でも、そういう「良さ」っていうものは、あるわけです。

花は葉に花は優しき樹となりぬ

表題句。「だいじなことなので二度言いました」効果があって、しかも一回目は定型句(季語)、二回目は、主情的にひきのばされて、そこに歌いあげる高揚感が生まれている。この言い方は、ちょっとした発明。ただし、「花」は「樹」になると言えるか、葉桜を「優しい樹」といえるか、という表現上の弱点はある。

伊勢の子は伊勢の桜に遊びけり

この地名はもちろん交換可能に見えるけれど、この人が、目の前にいる子どもたちを肯定し、かつて(おそらく)伊勢の子どもであった自分を肯定する二重性において、ちゃんと鍵がかけられている。つまり、そのときこの人が、伊勢の子どもと桜を言祝いだことは、交換できない。地名のリフレインという手は、先例がなくはないかもしれないけれど、これは、いい句。


2017角川俳句賞「落選展」

1 コメント:

青島玄武 さんのコメント...

ありがとうございます!

これからも精進いたします。

あ。『リボン』買います!😅