【週俳5月の俳句を読む】
そら豆と琉金と
対中いずみ
そら豆のその青ほどの祝ひごと 川嶋一美
空豆や豌豆の旬はまことに短い。店頭で見かけると、季節に一度は買わずにはいられない。豆御飯は炊かずにはいられず、空豆の塩ゆでを食べずに初夏はやり過ごせない。それは、単に美味しいから、というよりは、やはり巡りきた季節を味わうという行為なのだろう。
「そら豆の青ほどの祝ひごと」とは何だろうか。たぶん、結婚や出産などの大きな祝い事ではないだろう。何かしらひそやかな気配がある。ひそやかであるが大切な時間だったのだろう。気持ちのこもった、大人な句だと思う。
琉金の鈴鳴るやうに寄りきたる 川嶋一美
琉金は、和金(夜店の金魚すくいの赤い金魚ですね)と違って、ぽったりしている。その丸い姿は土鈴のようだ。だから形状からして「鈴」なのであるが、琉金は尾も長い。その立派な尾を振りながら泳いでくる姿は、シャラシャラとかチリリンとか音が聞こえてくるようだ。作者の感性がとらえた見事な写生句だと思う。琉金の句として忘れられない一句となりそうだ。
2018-06-10
【週俳5月の俳句を読む】そら豆と琉金と 対中いずみ
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