中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜
ショッキング・ブルー「ヴィーナス」
憲武●the beatlesのa hard day's nightみたいに、イントロが心に残る曲ってありますよね。という訳でショッキング・ブルーの「ヴィーナス」。
憲武●この曲のカヴァーはいろいろあります。バナナラマやトム・ジョーンズとか、わが国では長山洋子の「♪あなたヴィーナスわたしヴィーナス あっヴィ〜ナス」とか。
天気●サビは「アンヨ、ヴィーナス♪」って聞こえたけど、あんよ(足)ってヘンな歌詞! とか思ってました。じつは「I'm your Venus ♪」ですね。
憲武●この人たちオランダ出身なので、ヴィーナスがフィーナスに聞こえたりしますね。ヴォーカルのマリスカ・ヴェラスはドイツとハンガリーのハーフなので、外国人の英語として片言に聞こえる部分は、本国オランダでも容姿と相俟って充分な魅力だったと思います。
天気●発音とか容姿とかはよくわかりませんが、ともかく、ラジオからしょちゅう流れてた。
憲武●えっ、ラジオから? その当時家ではTBSラジオ掛かってましたけど、記憶にないなあ。意識的に聞いてなかったんでしょうね。ガキだったから。
天気●ジェネレーション・ギャップ?
憲武●1971年7月の新宿厚生年金ホールで行われたCDのライブ盤持ってるんですけど、最初とアンコールが、この「ヴィーナス」です。
天気●へんなもの、持ってますね(素直に感心してます)。
憲武●いやー、ショッキング・ブルーのライブ聴いてみたかったんですよ。マリスカはこのライブ盤について、猿が住むような野蛮な土地でも人気があることをヨーロッパのファンにアピールしたかったと語ってました。
天気●ふむふむ。ヨーロッパでは人気がいまひとつだったのかな?
憲武●今では反日と言われかねないこの発言、随分な言われようですが、音楽そのものと、こうした発言は分けて考えるべきと思います。ええっともう一曲、とても好きな曲で鉄道従事員との結婚はありえないと歌う「悲しき鉄道員」。
天気●一発屋だと思っていたら、この曲もヒットした。
憲武●アコースティックな響きが印象的ですね。1970年辺りでは女性がリードヴォーカルというのも珍しかったと思います。ヒットの要因というのは、規定の路線をどこか外していたり、飛び越えてしまったところにあるのかななどと考えさせられるバンドです。
(最終回まで、あと911夜)
(次回は西原天気の推薦曲)
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