【週俳2月の俳句を読む】
美味しそう
山下彩乃
摘草を料るにさつといふ手順 中原道夫
「5秒茹でる」よりも「さっと茹でる」ほうが美味しそうだ。料理する人間にまかせる自由さ、草の種類を特定せず、摘草という雑多な草花たちを連想させるところも春らしい。
つつがなく酒が回れば諸子焦げ 中原道夫
まだか、まだ乾杯ができないのか。よし皆に回ったな、乾杯!と、そうこうしているうちに諸子が焦げている。あっ諸子が焦げている!熱っ!と、ビックリマークが多くてにぎやかな大勢の酒の席。焼くのではなく、諸子を焦がすことで、こんなにも情景が広がる。
冰りたる水面に奥のありにけり 宮本佳代乃
「奥のあり」ではなく「奥のありにけり」と、下五をゆったりとしたところが良い。水面の深さを感じさせるからだ。凍るでも、氷るでもない漢字もこだわりを感じる。
日脚伸ぶいまらうそくのらのあたり 宮本佳代乃
「ろのあたり」ではないんだなあ。わたしも「えんぴつのぴのあたり」など日常で使ってみたい。
第302号 2013年2月3日
■竹岡一郎 神人合一論 10句 ≫読む
■宮本佳世乃 咲きながら 10句 ≫読む
第303号 2013年2月10日
■照屋眞理子 雪の弾 10句 ≫読む
第304号 2013年2月17日
■皆川 燈 千年のち 10句 ≫読む
第305号 2013年2月24日
■中原道夫 西下 12句 ≫読む
■岩田由美 中ジョッキ 10句 ≫読む
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2013-03-10
【週俳2月の俳句を読む】美味しそう 山下彩乃
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