2013-11-03

2013落選展テキスト 2ライム 黒木韻石

2  ライム  黒木韻石

大旦産土神はうすむらさき
ぬばたまの黒髪凜と初稽古
あかねさす鍋に入れたる若菜かな
短所より長所を取りて初句会
ふきのたう残して行きぬ雪女郎
カシオペア椿の島を巡り行く
春霞晴れて露(あらは)や悪巧み
心地よき日和となりぬ百千鳥
竹芝の大島桜咲きにけり
学びやに花びら舞へり志
四月一日小酒井不木の句集読む
花篝まさか婆娑羅の仲間とは
霧島の桜散るなり薩摩汁
花吹雪ぽんぽこぽんと腹鼓
おのづから花ちらしをり夜もすがら
蕨飯できるといふに廻蹴
焼魚つつくめをとや柿若葉
初夏の花暦閉づ雨催
牡丹園行きの列車は五番線
薔薇園を見渡す丘へ青嵐
杜若昔男之旅姿
花笑みの水かすめたる翡翠かな
椎の花宮脇昭は今日も行く
若草萌ゆる白夜のアラスカ
禅天魔日蓮獅子吼炎天下
古備前に五次元のある暑さかな
真昼間まつしぐらなる夏の恋
まろやかな真夜中の君バナナ食む
モンスーン カミングスーン ハニムーン
つぶつぶのぷるぷる揺るる涼しさよ
秋立つや桃源郷を通せん坊
バーボンとアーモンドあり秋の風
二番打者併殺されて彼岸花
くるぶしに鈴虫とまる胡坐かな
秋の夜トリックスターは立ち上がる
天の川詩(ポエム)は韻(ライム)響きけり
あなさやけ吾晴れ天晴れ花畑
柚味噌あり心配するな酒もある
Googleでのぞくルーヴル秋季展
アトリエに遊女(あそびめ)とゐて歌麿忌
宗鑑忌鳩ふと人の陰へと屁
初時雨京都国立博物館
初冬や京のもみぢの艶姿
モザイクの菩提樹ありて冬の旅
初雪や人はワインの栓を抜く
きんさんとぎんさんのゐる親鸞忌
囲炉裏端「緑川」なる酒を酌む
盤珪の歩みし跡か雪の朝
氷点下まさに今こそ正念場
春を待つ立子の日記読みながら


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