自由律俳句を読む 60
そねだゆ〔2〕
馬場古戸暢
前回に引き続き、そねだゆ句を鑑賞する。
話し込んでる足が子供のジャングル そねだゆ
乳幼児の母親たちが井戸端会議を楽しんでいるところを、足元に着目してよく詠んだ。いつの時代も、大きくは変わらない景かもしれない。
朝からの雪の酒になる 同
雪が非日常であるところで得られた句ではないか。酒を注ぐ音だけがきこえてくる。
切符なくした手が忙しい 同
suicaを手に入れるまで、私は毎回のようにこの句のような状態に陥り、この句を思い出していた。二回ほど実際になくしていた経験もあるので、suica様様である。
おなかの音に顔を見合す 同
食事前の、ほほえましい一コマ。犯人は俺かお前か俺とお前か。
言いかけた口にお茶を含む 同
会話の途中で発言のタイミングを逸した際には、こうした口にお茶を含むほかない。あるいは、自分の意思で、意見をそのまま飲み込んでしまったのか。とすれば、大人な戦略である。
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