自由律俳句を読む 75 富永鳩山〔1〕
馬場古戸暢
富永鳩山(とみながきゅうざん、1938-)は、山口出身の自由律俳人、書道家である。1979年に「山頭火研究会」(後の「山頭火ふるさと会」)を結成して以降、自由律句壇クラブ群妙を主宰誌し、自由律句のひろばの初代代表を務めるなど、精力的な活動を続けている。NHK山口テレビの「自由律句らぶ」の講師を務めていたので、ご存知の方も多かろう。共著に『漢詩による山頭火の世界』がある。以下では数句を選んで、鑑賞したい。
語りはじめそうな石の横 富永鳩山
第九回放哉賞大賞受賞作品。川原に座っているところを詠んだもののような気がする。以下に見るように、氏には石の句が多い。
まるい石が立ち上がる寒い川 同
「まるい石が立ち上がる」とは、立ち上がった状態を詠んだものか、それとも立ち上がりつつあるところを詠んだものか。おそらくは前者だろうが、寒い川では後者も起こりそうな気がする。
それからは大きな石もちあげる 同
ここまで鑑賞文を書いて来て、もしや石そのものが好きな詠み手なのかと思いいたった。私ならば、石をもちあげるという発想すら湧かない。
石のかたちの凹みを見る 同
子供の時分、水切り用にすべすべの石を探して歩いたことを思い出した。その頃以来、石のかたちを意識して見たことはたぶんない。
筋を通してひばり垂直に鳴く 同
兎角に人の世は住みにくいものだが、ひばりにはまったく関係ないことのようだ。とりあえず今日もいつものように、垂直に鳴いてみた次第である。
2015-01-11
自由律俳句を読む 75 富永鳩山〔1〕 馬場古戸暢
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 comments:
コメントを投稿