【八田木枯の一句】
雪來るか星のひかりに抱かるる星
西原天気
雪來るか星のひかりに抱かるる星 八田木枯
恒星と惑星の関係と読むこともできるが、隣り合った星と星、夜空を眺めて感得されたものと読みたい。
空を見上げているその視線であれば、「來る」の語の選択は的確(雪は空から「来る」のだ)。
下は、五音にもできるが、六音。ここにもはからいがある。
調べ(音だけを言うのではない。意味と音の交響)をしつらえるための配慮が、句のそこここに見える。
ポッと出てくる句の愉しみも、俳句にはあるが、句の素(もと)が出てきてから一句に定着するまでを、理と情をもって、きちんと制御する。八田木枯は、つねにそれができる作家だったと思う。
掲句は『雷魚』第7号(汗馬楽鈔周辺)より。
0 件のコメント:
コメントを投稿