2017-01-22

10句作品 狐の鍵 中村安伸

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狐の鍵   中村安伸

冬晴れて未来のやうな無人島

書におもてうらあり厚さ寒さあり

一切の雲の去り際寒卵

枯葎カステラの底舗装され

古傷の遺伝してゆく霜柱

海になつて鯨を出入りするといふ

北風に芯から赤く鉄怒る

式典や良き火は海の下に凍る

マフラーを編み国境の橋を編む

狐から鍵をもらつてゆつくり回す

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