作品14句
大きくて軽く
阪西敦子
大きくて軽く 阪西敦子
森深く煉瓦朽ちたり風光る
寄り合うてしばしの空や石鹸玉
枝揺らし春の鴉となりにけり
大きくて軽くて遠足の鞄
惜春の鏡の中のハンガーよ
籠の影纏ふ卵や夏近し
紫陽花や頬杖つけば眠たくなる
帰りには青梅のある石畳
死してなほ縞笑ひをる藪蚊かな
サックスのぐるりに映り素足なる
菓子折の片側重き西日かな
もう帰る人がをるなり金魚玉
水蜜桃ランタンの灯の届きたる
ライオンに飽いて金木犀咲いて
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