2017-08-20

中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜 第13回 スティーヴン・セガール「ダスト・マイ・ブルーム」

中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜
第13回 スティーヴン・セガール「ダスト・マイ・ブルーム」


天気●あのね、なにをするでもなくひとりで夜更かしして、テレビもろくなものないなぁとチャンネルを換えていくと、スティーヴン・セガールの映画をやっていたりする。そんなとき、なんだか、自分の坐っているそこが、この世の果て、みたいなかんじになりませんか?

憲武●ああ、遠くまで来ちまったなあという、寂しいような懐かしいような感覚ってありますよね。

天気●そうそう。さみしなつかし。サウダージ。

憲武●小学生のころ夜中にヒッチコック劇場観てるときにそういう感覚ありました。沈黙の時間です。

天気●というわけで、ヒッチコック……じゃなくて、スティーヴン・セガールのダスト・マイ・ブルーム。ライブです。



憲武●スティーヴン・セガールって、たしかアルバムも出してましたよね。そして阪神ファンという。

天気●俳優で楽器のできる人、ギターの弾ける人は少なくないのですが、この人はわりあい本格。ブルースのファンらしく、見つかる動画はブルースだらけ。で、ブルース好きにありがちなギター好き。コレクションがなかなかすごいらしいです。

憲武●ギター愛好家なんですね。オーディオも充実してるんでしょう。

天気●本格といったのは、テクニックよりもむしろ、弾き方の個性。右手がかなり変則。でかい手のひらをギターのボディーの下半分にぺたっと固定して、親指で弦をはじく。まあ、指がぶっといぶっといぶっとい。出ている音も含め「素手」なかんじのする演奏です。

憲武●細かく観て行くと、かなり変な弾き方のような。

天気●ダスト・マイ・ブルームはロバート・ジョンソンの曲。この演奏はエルモア・ジェイムズに近い。

憲武●ジョージ・ハリスンが「フォー・ユー・ブルー」のなかで「エルモア・ジェイムズのコピーじゃないぜ」と言ったエルモア・ジェイムズですね。ボトルネック奏法の。

天気●わざわざ言わなくても、そうは思わない。似てないから。

憲武●ダスト・マイ・ブルームはスラングで「家を引き払う」といった意味だそうですが。

天気●ふうん、そうなんだ。

憲武●エルモア・ジェイムズが「ダスト・マイ・ブルーズ」と歌ってるヴァージョンもあります。

天気●埃っぽい(ダスティ)イントロですよね、いずれにせよ。

憲武●なんか声質も似ているような。エルモア・ジェイムズと。ブルーズ向きの声ってありますね。

天気●それはもう、好きだと、似せようとするし、そういう声になっちゃんでしょうね。


(最終回まで、あと988夜)
(次回は中嶋憲武の推薦曲)

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