第547号 鉄塔
大江 進
高圧電線の鉄塔は通常はそれほど目立つものではない。できるだけ人家の多いところを避けるように山あい谷あいに設置されることが多いからであり、地形の起伏にまぎれてしまうからである。しかし当地=山形県の庄内平野の平坦率は国内有数であって、そのこともあって昔から米作の穀倉地帯として名をはせているが、非常に平らかであることから鉄塔の存在感もとても強い。
地平線までというとおおげさになるが、ずっと遠くまで見通せる景色のなか延々と続く鉄塔がいやがおうにも目に入る。普通の鉄塔は錆び止めの亜鉛メッキが厚く施された鈍い銀色だが、ところどころに赤と白にペイントされ天辺に点滅する灯りを付けた鉄塔がある。ヘリコプター等の電線との接触を避けるための特別な鉄塔である。黄金色の田と青く澄んだ空に、紅白の鉄塔がやけにマッチしている。
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