中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜
カーペンターズ「ワンダフル・パレード」
カーペンターズ「ワンダフル・パレード」
憲武●今回はカーペンターズのイチオシです。私から行きます。Carpentersで"Your wonderful parade"です。
憲武●ファーストアルバム"Ticket to ride"のA面2曲めです。1969年12月発売ですね。とにかく若々しい。ファーストアルバムの1曲めはアカペラの静かな曲ですが、この曲の印象が強くて、かなり長い間、1曲めはこの曲から始まっているような気でいました。
天気●2枚目のアルバム「Close to You」(1970年)、3枚目「Carpenters」がヒット曲を多く収録しているせいでしょうか。1枚目は印象が薄い。でも、思い出すと、カーペンターズは、ビートルズ「涙の乗車券」のカヴァーから始まったような感じでしたね。
憲武●そうなんです。湯川れい子が、「プリーズ・ミスター・ポストマン」のシングルのライナーノーツで「そういえば出発は『涙の乗車券』だったとハタと思い出し、あとは涙ハラハラ…」と確か書いてましたね〜。この曲は、リチャード・カーペンターのオリジナルで、リードヴォーカルも取っています。ファーストではリチャードがリードヴォーカルを取っている曲が、後年のアルバムから考えると、全14曲中5曲と多めです。
天気●セールス方針が、しだいにカレンのヴォーカルを前面に押し出すようになったんでしょう。リチャードはだんだんプロデューサーみたいな感じになった。
憲武●カレンはこの時19歳だったんですが、全曲のドラムスを担当しています。この動画でも元気に叩いていますね。本当は歌って叩くスタイルで、ずっとやりたかったんでしょうね。
天気●これもセールスの方針ですかねえ。舞台のいちばん前でバラードを歌うというのが本線になった。
憲武●まあ、パワー不足という判断もあったんでしょうね。ジャケットはヨットに乗った2人が、今まさに船出しようとしているショットが使われていて、カーペンターズの歴史は、パレードの曲で始まりました。そのパレードも75年辺りまでは順風満帆だったんですけどね。
天気●途中から拒食症うんぬんといった暗い話題が増えました。
憲武●カレンのアルトは、いまだに生き生きと魅力的です。この動画で2人のカレンがドラムスを叩いていて、最後に前のカレンと後ろのカレンが一緒になって、声援に応えるという、いま考えてみると象徴的な感じの動画ですね。(不意に椅子から立ち上がり、椅子の上に乗る)
天気●ど、ど、どうしたんですか?
憲武●カレーーーンッ! どおして死んじまったんだよおおおーーーっ!
(最終回まで、あと869夜)
(次回は西原天気の推薦曲)
(次回は西原天気の推薦曲)
お邪魔します。
返信削除カーペンターズは、ベスト盤を卒業した人が聴くアルバムは
「涙の乗車券」と「パッセージ」にするべきだと常々思っている人です。
「涙の乗車券」のB面は「ナウ・アンド・ゼン」のB面と同じぐらい価値があると思っています。