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口伝花語 生駒大祐
振り仮名を濡らすくらゐの月の春
春月や拗ねて鳴く戸を拐かす
声ほどに嵩張るはなし鶴帰る
閨は雨降るものと芹刻みけり
遊ぶにはあまりに狭き春の闇
花冷や瞼は使ふたび古ぶ
微熱あり遠く花降る橋があり
水岸や花は力を抜いて死ぬ
霞草空に吊せば泳ぎけり
君の手よ論理の穴に花を挿し
仮の世の春を現の手が冷た
手渡す花その萼雫して春寒
笑へ舗道の水漬く椿を見て言つた
晩かけて発語の喉に菫咲く
風に髪乱れてもただ雉子鳴いて
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俳句にまつわる諸々の事柄。
photo by Shino MURATA
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