2020-04-26

10句作品 追憶と鉈 安里琉太

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追憶と鉈  安里琉太

海灼くる無風を蝶のひた歩く

  *

日をおいて夜汽車のとほる田螺桶

暮春の母屋あぶらゑのぐの饐えてゐし

卯の花や天金の書の束ね売り

  *

鳥沼の玉葱畑に寝てしまふ

先生や牡丹瘦せて月瘦せて

かはほりに雲の扉の展きある


ひらかれへ馬上の風雲倦む耕

みしはせを奇想の蒜へふり分ける

吊るし倦む百丈雛の黄の総体


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