対中いずみ
「晨」1989年11月号は、題34号。裕明30歳。二児の父になったばかりである。裕明は、爽波に倣って、虚子とその周辺の作家たちによく学んだ。後年、主宰誌「ゆう」において「大正期の作家を読む」という特集を一年間組んでいる。文中に、「簪がこびるという表現は擬人法ではあるけれども少しもいやしいところがないという点で、独自である。」とある。裕明選を受けた者の実感で言うと、裕明は擬人法を好まなかった。なぜそうなのかを言うのは難しい、と語っていたこともある。ある時は「句が幼くなるのかなぁ」とも言っていたが、「擬人法は句をいやしくする」という見方も持っていたのかもしれない。
「晨」1989年11月号より、5句を引く。
「晨」1989年11月号より、5句を引く。
蟷螂の眠りを眠る赤子かな
厩戸の皇子のごとくに涼みをり
大き葉をくろぐろ灯す野分かな
初霜の山によごれし顔ならむ
みづいろのはじめは秋の花火かな
≫田中裕明 簪おとなし 渡辺水巴の俳句厩戸の皇子のごとくに涼みをり
大き葉をくろぐろ灯す野分かな
初霜の山によごれし顔ならむ
みづいろのはじめは秋の花火かな
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