対中いずみ
「ゆう」9号には、「高橋睦郎さん」という田中裕明の小文が載っている。
今年のはじめ高橋睦郎さんの『百人一句』という本が出ました。中公新書です。
倭建命(ヤマトタケルノミコト)から永田耕衣までの日本の歴史の中から百人のそれぞれ一句をあげて鑑賞されています。
とくに江戸俳諧にいたるまでの和歌・連歌の作品が楽しい。新鮮な刺戟にみちています。肖柏・宗長・法眼など、その名をはじめて聞きました。
高橋さんはもともと(?)現代時の世界の方ですが、俳句でも大きな仕事をしています。今回の『百人一句』でも、俳人がよくしないところの遠近法を見せてくれました。
この本の終わりには高橋さんと仁平勝さんとの対談が収められていて、これもまた面白い。「本歌取りがなければ」「我の出てこない句に期待する」「切れは希求の心を強める」など句作りに看過できない言葉があります。9号の裕明句は以下の通り。太字は句集収録句。
真清水
杖つかぬ桂信子やほととぎす
汗の子に大きなオムライスつくる
人眠り石榴の花の散るところ
遠ければ詩をあたたむる浮巣かな
明易や年譜にありし鯉のこと
群青や茂吉の食ひし大鰻
真清水や薄給の人偉かりし
我よりも古き本なし曝しけり
虫干や石に水湧く家の内
落魄のひとふかぶかと夏景色
杖つかぬ桂信子やほととぎす
汗の子に大きなオムライスつくる
人眠り石榴の花の散るところ
遠ければ詩をあたたむる浮巣かな
明易や年譜にありし鯉のこと
群青や茂吉の食ひし大鰻
真清水や薄給の人偉かりし
我よりも古き本なし曝しけり
虫干や石に水湧く家の内
落魄のひとふかぶかと夏景色
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