2020-05-31

後記+プロフィール684

後記 ◆ 村田 篠

先週の後記で、岡田由季さんがご夫婦でZOOMを試したときのことを書かれていたので、私もZOOMにまつわる家族の話を書こうと思います。

この状況下、母がお世話になっている老人施設も家族の面会を禁止していますので、会いに行くことができないのですが、先日施設から、ZOOMを使ったリモート面会を開始しました、という連絡をいただきました。さっそく母に電話をして「やってみたい?」と訊いたところ、「いや、いつでも電話で話せるから、とくに必要ない」との返事。母が自分でPCを操るわけではなく、専用ルームに行きさえすればできるのですが、それでもいらない、と言います。

じつは、私も母と同じ気持ちでした。声はかなり多くのことを伝えてくれます。体調が悪いことも、気分がすぐれないことも、声を聞けば分かります。言いたいことは電話でも言い合います。なのでむしろ、声だけを聞くくらいの距離感が、お互いにちょうどいいのです。顔を見ると安心する部分もありますが、よけい気になったりすることもあります、親子ですから。母の方は施設の方が立ち会う形でしょうから、何でも言えるというわけでもないでしょう。実際に会えない状況でもやもやした気分になるのはできるだけ避けたいと、ふたりとも思っているのです。

会いに行けない状況が長引いたら、また考えが変わるかもしれませんが、いまのところは、声だけの距離感に満足しています。



それではまた、次の日曜日にお会いしましょう。


no.684/2020-5-31 profile

■対中いずみ たいなか・いずみ
1956年生まれ。田中裕明に師事。第20回俳句研究賞受賞。句集に『冬菫』『巣箱』『水瓶』(第68回滋賀文学祭文芸出版賞、第7回星野立子賞)。「静かな場所」代表、「秋草」会員。

■中嶋憲武 なかじま・のりたけ
1994年、「炎環」入会とほぼ同時期に「豆の木」参加。2000年「炎環」同人。03年「炎環」退会。04年「炎環」入会。08年「炎環」同人。

■上田信治 うえだ・しんじ
1961年生れ。句集『リボン』(2017)共編著『超新撰21』(2010)『虚子に学ぶ俳句365日』(2011)共編『俳コレ』(2012)ほか。

西原天気 さいばら・てんき
1955年生まれ。句集に『人名句集チャーリーさん』(2005年・私家版)、『けむり』(2011年10月・西田書店)。笠井亞子と『はがきハイク』を不定期刊行。ブログ「俳句的日常」 twitter

■村田 篠 むらた・しの
1958年、兵庫県生まれ。2002年、俳句を始める。現在「月天」「塵風」同人、「百句会」会員。共著『子規に学ぶ俳句365日』(2011)。「Belle Epoque」

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