2023-11-05

中矢温 ブラジル俳句留学記〔14〕サンパウロ人文科学研究所での実践活動②本に囲まれて

ブラジル俳句留学記
〔14〕サンパウロ人文科学研究所での実践活動②本に囲まれて

中矢温


前回に引き続き、サンパウロ人文科学研究所(以下、人文研)での実践活動について紹介したい。私はまず日本語資料約4300冊の蔵書点検を任せていただくことになった。データベースにはあって本棚にない本、本棚にはあってデータベースにはない本、誰かが格納場所を間違えてしまった本、背表紙とラベルの相性が悪く剝がれかけの本、漢字変換ミスされたまま登録された本などがないかを一冊ずつ確認をしている。本棚への閲覧者の立入はお控えいただいているので、まさに役得である。

蔵書点検と聞いたとき、きっと簡単だろうと高を括っていた。しかし始めてみると、本棚は特注の立派な代物で、体感2メートル50センチ以上あり、上段の本を見るには脚立が必須である。また、本棚の高さの都合上大型本は一番上の段や下の段に寝かせて置いてあることもあるので順番通りに並んでいないこともある。逆に小さくて薄い本は背表紙を辿っていたら見逃す可能性もある。閲覧者が自由に出入りしていたときの時代の名残で、うっかり全然違う棚に返されていることもある。蔵書の番号も、後から寄贈された本の番号は、イレギュラーに割り振るしかない。概ねテーマごとに並んでいるが、複数のテーマに跨る本も多く、棚作り自体が難しい。

これらは本当に正に「言うは易く行うは難し」という作業である。10月末時点でようやく半分というところか。焦る気持ちが募るが、こつこつと進めていくほかない。これは私に適任の仕事なのだ。何故なら私にはまずブラジル移民の歴史と社会に関心と尊敬の念があって、サンパウロ市内に居住しており、かつボランティア活動をする時間を確保でき、先の未来に帰国期限というデッドラインを抱えた日本語ネイティブだからだ。ポルトガル語ができないことに落ち込みつつ奮起することも大切だが、週に二回ここで自信を取り戻すのも悪くないかもしれない。

私のよいところのひとつの本を読むことと同じくらい、本という物体そのものが好きなことがあると思う。一冊一冊の本には、作者、寄稿者、編集者、翻訳者、出版社、読者、寄贈者がいて、それをこの棚に収めた多くのボランティアや職員の方がいる。そんなことを考えているとつい本の中身まで確認したくなり、しばし作業の手が止まりそうになる。本に謹呈者の名前が書かれたものもあると、つい頰が緩む。寄贈者の名前が書いてあると、たとえ存じ上げずともその方に頭を下げる。

私は本は本でも特に本の後書きが大好きだ。どの本を読むときもまず後書きや編集後記から読む。ひとつひとつの資料が誕生したときに作者・編者・読者たちを中心として共有された同時代的な喜びが詰まっていて、活字化という営為の尊さに都度立ち返ることができるからである。

今日とうとう俳句や短歌、詩や小説の棚に差し掛かった。手書きのガリ版刷りのものもある。ISBNを持たず、数巻で終わってしまって、人文研ですら全号揃っていないこの同人誌たち。開いてみても、誰一人存じ上げないこともざらにある。長年の月日の末に傷んでしまって捲るのに躊躇するような本もある。

この本が今ここにあることの尊さを噛みしめるだけではあまりに惜しいので、この資料を基にしてどこかで何かを書きたい。仮に今回の滞在で書ききる時間がなくとも、せめて書けるだけの準備をしたい。この記事が人文研という機関とその資料についての広報に少しでも貢献できていたら嬉しい。




〔ポルトガル語版〕(escrevi o resumo no português sem revisão gramatical)

Antes de me candidatar ao Centro de Estudos Nipo-Brasileiros (CENB), eu não tinha certeza do que poderia fazer no centro. Eu não tinha nenhuma qualificação ou experiência como bibliotecário ou arquivista.

Mas logo consegui trabalhar com confidência como voluntario. Eu sou a exitencia rara e importante.
1. respeito muito pela história e pela sociedade de imigrante japonês.
2. gosto de ler e dos livros físicos.
3. moro na cidade São Paulo, perto do Centro.
4. tenho bastante tempo de trabalhar.
5. minha língua nativa é japonesa e posso ler títulos dos livros sem dificuldade. 

Na vida cotidiana perco confidencia por causa da falta de habilidade de português. Para mim é experiência importante, mas é importante também ter algum lugar que me dar o tranquilo. 
Cada livro na estante tem cada narrativa de nascimento até doação. Respeito todos. Gostaria de não só respeitar mas também escrever algum ensaio e promover este tesouro(livros) para sociedade geral e acadêmica.

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